MIYUKI UMEZAWA
タテ455×ヨコ380(㎜)
木製パネルにアクリル絵の具・スプレー・メディウム、
ペン、コラージュ(プリザーブドフラワー・ワイヤー)
***
雨、その花。どこか。
「その花」のいるどこかの世界には、あらゆる「雨」が降る。悲しい雨、嬉しい雨、切ない雨、優しい雨、雨はその花を染めていく。ある日、長く続く、冷たい雨がその花を打つ。その花はどんなことを想っているだろう。つらいだろうか、落ち込んでいるだろうか、涙を流すだろうか。ひとりぼっちなら。ひとり凛と立っているのはとても難しくて、存在していることすら諦めてしまうかもしれない。そんな雨が降る中、あらゆる雨で染められたその花は出会い、共鳴する。どこかにいる「ある花」と。ある花は、その花には見えないくらい遠くに存在しているかもしれない。それでも共鳴し合う、その花とある花の間には、不確かだけれど確かに存在している何かが流れている。その何かは、その花にとって、とても大切なモノである。それは、目には見えないけれど、確かに流れ、つながっている。その「つながり」は、「どこか」の世界で、どんなに冷たい雨が降っていたとしても温かい雨へと変えるモノだ。
「雨」はその人をとりまく状況や環境、「その花」は自分、「ある花」は自分とつながりをもつモノとして描いている。世界中で困難な状況が続く今、普通にある生活を幸せに感じたり、自分のまわりにいる人をより大切に感じたり。温かい支援を送ってくれる人たちがいたり、困難な敵に立ち向かうという同じ想いを持つ仲間がいたり。近くにあるつながりも遠くて見えないようなつながりも、気づいていないほど本当にたくさんの「つながり」が「どこか」に確かに存在している。どんな状況であっても、どこかで、モノとモノの間に大切なつながりが存在しているという想いを作品に込めました。
作品は「どこか」と「つながり」に重きをおいて制作しました。雨降るどこか遠いような近いようなぼんやりとした空間である「どこか」を表現するために、木製ならではの質感を生かしています。角度により絵の見え方が変わり、雨やイメージする場所が様々感じられるように描きました。花は、感情ははっきり見えるわけではなく、誰かから見れば、環境に合わせて淡々と生きているように見えるというイメージでペンを用いており、人の感情や感覚は目に見えないが、確かに存在している何かでつながっているというイメージを実際に存在する、プリザーブドフラワーとワイヤーの組合せで表現しました。アートとして創り上げた世界ながら、「つながり」というものは確実に存在しているということを表しています。
<作者からのメッセージ>
Comentários